はじめに
4月。新しいクラスに、はじめましての子どもたち。
「泣いてばかりで、音楽どころじゃないかも…」 「何をしたらいいのか、正直わからない」
そんなふうに思っているリトミック講師さん、保育士さんへ向けて、この記事を書きました。
私自身も、慣らし保育中の、ギャン泣きの子に引っ張られて、気づけば室内がカオス…という日を経験しています。自分の声が全く聞こえなくて、「あれ、私、何しに来てる?」と焦ったことも一度や二度ではありません(笑)。でも、そんな日があっても大丈夫。子どもたちに「音楽って楽しい」と感じてもらうための第一歩は、ゆっくりでいいんです。
この記事では、1〜2歳児クラスの新入園時期(4月)に使えるリトミック指導案をご紹介します。スカーフを使った活動を中心に、ねらい・流れ・現場で使えるポイントまでまとめました。
- 新入園児クラスのリトミックのねらい
- スカーフを使った活動の流れ(導入〜まとめ)
- 現場で使えるポイントと注意点
- 「むすんでひらいて」へのアレンジ方法
活動概要
活動のねらい
・音の有無を感じる(音が鳴ったら動く、止まったら止まる)
・ビートに合わせて身体を動かす(スカーフをふる、歩く、揺れるなど)
・音楽が流れる環境に親しむ(正しく動けなくてOK、まず雰囲気を楽しむ)
新入園の時期に一番大切なのは、「リトミックは楽しい時間だ」という安心感を育てること。完璧にねらいを達成しようとしなくて大丈夫です。
対象・準備物
| 項目 | 内容 |
| 対象年齢 | 1〜2歳児クラス |
| 実施時期 | 4月(新入園・慣らし保育期間) |
| 活動時間 | 10〜15分程度 |
| 準備物 | リトミックスカーフ(子ども人数分+予備2〜3枚) |
| その他 | ピアノ |
活動の流れ
ステップ① 導入:ピアノを聴く(2〜3分)
部屋に子どもたちが集まったら、まずはピアノを弾き始めます。
即興演奏でも、みんなが知っている曲でもOK。ピアノそのものに興味を持ってもらうことが、この最初のステップの大きなねらいのひとつです。「きらきら星」でも「ちょうちょう」でも、保育園でよく歌われている曲が流れると、「あれ、この曲知ってる!」と泣いていた子がふと泣き止むことがあります。新入園の時期は、この「聞き覚えのある安心感」が大きな力を持ちます。
音が聞こえてきたら、先生が体を揺らしたり、手をたたいたりして見せます。このとき、一緒にいる保育士の先生方にも積極的に動いてもらえると、子どもたちがぐっと動きやすくなります。「先生たちが楽しそう」という空気が、何よりの誘いになります。
そして途中で音をピタッと止める。先生も一緒に止まって、「あれ?止まっちゃったね!」と子どもと目を合わせながら笑いかけます。
これ、実はリトミックにおける最初の大切な体験です。「音が鳴っている」「音が止まった」という変化を耳でとらえ、身体で反応する——それがリトミックの根っこにある感覚。「止まっちゃったね!」の笑顔の共有が、その入り口になっています。何回か繰り返すうちに、子どもたちも「あれっ?」と嬉しそうな顔を見せてくれるようになりますよ。

最初はじーっとこちらを見つめるだけ、という子がほとんど。それで全然OK!大人が大げさに動いて見せることで、だんだん身体がつられてきますよ。
ピアノで場の雰囲気がほぐれてきたら、はじまりのうたを歌います。年間を通して同じ曲を歌うことで、「この歌が聞こえたらリトミックが始まる」という合図になっていきます。歌いやすくて覚えやすい曲を1曲決めておくと◎。毎回同じ曲・同じ流れにすることが、子どもたちの安心感につながります。
ステップ② 展開①:スカーフを配る・触れる(2〜3分)
スカーフを子どもたちに見せながら、一人ひとりに手渡していきます。
いきなり「はいどうぞ」と渡すよりも、スカーフそのものへの好奇心を引き出してから渡すのがポイントです。私はいつも、まずスカーフを「提示」することから始めています。
スカーフの提示アイデア:
- 「ちょうちょう」を口ずさみながらスカーフをひらひら飛ばす
- 小さく丸めて手に隠し、「おはながわらった」の歌に合わせてパッと開いてスカーフの花を咲かせる
- スカーフを顔に当てて「いないいないばあ」をする
どれも子どもの目が釘付けになります。「これなんだろう?」という好奇心を引き出してから渡すと、受け取ったあとの探索がぐんと豊かになります。
渡した後は、すぐ動かそうとせず、まずスカーフと仲良くなる時間を設けます。手でぎゅっとにぎる子、顔にかけてみる子、くしゃくしゃに丸めてみる子…みんなそれぞれ。その自由な探索を大切にしてください。



泣いている子には無理に渡さなくて大丈夫。先生がスカーフを持って近くでひらひらさせていると、自然と興味を持って手を伸ばしてくれることがあります。
ステップ③ 展開②:音楽に合わせてスカーフを動かす(3〜4分)
スカーフに慣れてきたら、音楽に合わせてスカーフを動かしてみましょう。このステップには「ちょうちょう」がぴったりです。
スカーフをひらひらさせながら「ちょうちょう、なのはにとまれ〜」と歌い、「ぴた!」と音を止めてスカーフも止める。それだけで子どもたちは大興奮です。
- 曲中 → スカーフをひらひら、ふわふわ飛ばす
- 「とまれ〜」 → ゆっくりスカーフを下ろしていく
- 「ぴた!」 → スカーフを床や体にぺたっとくっつけて止まる。先生が子どもの頭や肩にそっとくっつけてあげると大喜びです
先生が楽しそうにやっているのが一番の教材です。「ひらひら〜」「ぴたっ!」と声をかけてあげると、子どもたちも動きやすくなります。



「ぴた!」の瞬間は大げさなくらいが◎。先生が全力で止まって見せると、子どもたちのリアクションもどんどん大きくなっていきますよ。
ステップ④ 展開③:むすんでひらいてでアレンジ(3分)
スカーフを持ったまま、「むすんでひらいて」に合わせて手を動かします。
スカーフをにぎって「むすんで」→ 開いて「ひらいて」→「その手を上に」で上に → スカーフをパッと放して落とすアレンジが子どもたちに大人気です。
「むすんでひらいて」のその他のアレンジ方法は、こちらの記事もあわせてご覧ください👇


ステップ⑤ まとめ:スカーフを集める・終わりの歌(1〜2分)
活動の終わりも、一つの「儀式」として丁寧にします。
「スカーフさん、ありがとう」と声をかけながら、先生がカゴや袋を持って一人ひとりのところへ回り、スカーフを集めていきます。たたむのはまだ難しい年齢なので、「ぽいってしてね」と入れるだけでOK。自分で入れる、という小さなアクションが「終わった」という区切りを作ってくれます。
最後に短い終わりの歌やあいさつを入れると、より区切りがつきやすいです。
スカーフを使うポイント・ねらい解説
なぜリトミックにスカーフを使うの?
スカーフは、リトミックにおいて「音楽と身体をつなぐ道具」として優れています。
- 視覚的なフィードバック:音のリズムに合わせて動かすと、動きが目に見えてわかる
- 触覚の刺激:ふわふわした素材が、特に低年齢の子どもの興味を引きやすい
- 空気感・広がり:スカーフがなびくことで、音楽の「流れ」を身体で感じられる
1〜2歳の時期は、音楽の概念よりも感覚的な体験が大切。スカーフはその体験を豊かにしてくれる、頼もしい相棒です。
スカーフの提示・渡し方のポイント
私が現場で使っているポイントをいくつかご紹介します。
- 渡すときはひらひら見せながら:「わあ〜きれいだね!」と声をかけつつ渡すと受け取りやすい
- スカーフ袋やカゴから出すのも活動の一部:何が出てくるのかな、というわくわく感を大切に
活動のポイント・注意点
泣いている子への対応
無理に参加させなくてOK。先生の膝の上や、近くで見ているだけでも十分です。音楽が流れている空間にいること自体が、立派なリトミック体験です。
音量とテンポの調整
新入園の時期は、大きすぎる音や急なテンポの変化がびっくりにつながることも。最初は小さめの音量・ゆったりしたテンポから始めて、子どもの様子を見ながら調整してください。
完璧にやろうとしない
ねらいの達成よりも、「楽しかった!またやりたい!」という気持ちを育てることが最優先。今日うまくできなくても、毎週続けることで少しずつ変わっていきます。
まとめ
新入園の時期のリトミックは、「うまくやろう」とするより、一緒に音楽の中にいることを大切にしてほしいと思います。
泣いていても、じっとしていても、それぞれのペースで音楽と出会っている最中。そのそばに、温かく寄り添える存在でいること。それが、この時期のリトミック講師の一番大切な役割だと、私は思っています。
スカーフ1枚と、ピアノがあれば、それで十分です。4月のリトミック、一緒に楽しみましょう🎵



